地域で健康まちづくりに取り組む際の3つのステップ

「健康まちづくり」とは、超高齢社会の到来を控え、老若男女・障害の有無を問わず住民ができる限り健康で幸せを実感できるまちの実現を目指し、まち全体の環境を整備する取り組みです。
内閣官房の「まち・ひと・しごと創生総合戦略」においても、
・自然と身体を動かしてしまう「楽しいまち」への転換(=歩きたくなるまちなかの創出)
・スポーツを通じた健康増進・心身形成・病気予防に向けた取組の推進
といった内容が盛り込まれています。
私自身も約12年間
・0からスポーツコミュニティをつくる(総合型地域スポーツクラブの立ち上げ)
・健康やまちづくりの拠点(YORIAI西川口)を設ける
・地域資源を活かした事業に携わったり連携する(川口の鋳物技術を活かしてできた健康器具ふみふみとの関わり)
など、健康まちづくりに関連する取り組みを行ってきましたが、これから健康まちづくりに取り組みたいという時に小さく始める3つのステップの踏み方を今回はご紹介したいと思います。

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1.健康チェックできる拠点をつくる

 

拠点のイメージは下記のような事例になりますが、いずれにも共通するのは、健康チェックを前面に出しすぎず、カフェなど、誰もが入りやすい空間構成にしている点です。
(1)KUROTOおおぶ×タニタカフェ(愛知県大府市)
カフェ機能に加え、体組成や血圧を測れたり、専門家に相談できる健康機能と、大府市の観光案内や物産機能も備わっており、正に健康まちづくりの理想型とも言える場所と感じました。

 

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(2)WAKUPAKU(大阪府)
難波駅すぐの「なんばパークス」内にあり、「食事+運動=健康」をキーワードとした施設で健康スタジオ✕レストラン✕ヘルスチェックの3つの機能が合わさっています。

 

ヘルスチェックは具体的に
・体組成
・血圧
・べジチェック
・握力
・脳波測定
・糖化産物測定
・毛細血管観察
になり、測定結果から食と運動の対策をその場で提示できるという仕組みができています。

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ちなみに、YORIAI西川口の入口の壁は、空いている時も空いていない時も誰もが垂直跳びをできるようになっていますし、いきなり拠点を設けなくても、人が集まりやすい場所を借りて、試験的に単発イベントを実施するところからスタートするのもファーストステップとして有効です。

 

2.健康チェックできる拠点を多面的に広げる

 

先日NCS社は、『SPORTS OPEN INNOVATION BUSINESS BUILD』【関東エリア】にエントリーして、プロスポーツチームに対して、「チームとスタジアムがハブとなり、市民もまちも健康に」と題した共創提案をさせていただきましたが、
例えば、
・1つのお店で握力測定ができる
・1つのお店(またはお店の外側)で立ち幅跳びができる
・1つのお店で体組成を測れる
・お店からお店の間で50m走ができる
など、駅(またはバス停)からスタジアムまでにあるお店に体力測定コーナーを点在させることで歩いて楽しい空間をつくり、サポーターの皆さんの健康促進につなげるといったことが考えられます。(歩く量が増えること自体の健康と、体力測定結果から自身の状況を把握し、健康増進意識を高める)

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またNCS社の場合は、地域経済循環の分析(統計の横断や仮説試算)にも取り組んでおり、体力測定を始めとした健康促進コンテンツを通じて、周辺のお店とのタッチポイントをつくると同時に、なぜ周辺商店との共生が必要なのかを、地域経済の実態を可視化させた上で、域内循環(周辺商店街の繁盛等)を増やすこと、終いには持続できる地域のあり方を提示できれば、健康+まちづくり(=持続的な地域づくり)の実現につながると言えるでしょう。
YORIAIで開催したイベント【「みんなのまち財®」で北浦和西口エリアを考える会】の様子

 

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3.機能の充実をはかる

1と2のプロセスを経て、市民の声にも耳を傾けながら、地域内で機運が醸成されたところで、健康指標改善を第一目的に
・スマホアプリをつくる
・ヘルスケア講座を充実させる
・ハード整備を行う
など、必要な機能の充実をはかるのがベストです。
例えば、YORIAI西川口では、体力測定種目の中でも、”閉眼片足立ち”の結果が以前(10年以上前)の平均値に比べて低いことに着目し、
川口の鋳物技術を活かしてできた健康器具ふみふみを活用しながら「心と身体のバランスワークショップ」というイベントを開催しました。
動きが伴うことで、初めての人同士でもコミュニケーションがとりやすくなりますし、健康指標の改善と同時に人のつながりづくりにもつながるような取り組みができるのが理想です。
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またハード整備も一つです。
例えば、大阪府吹田市では、北大阪健康医療都市と銘打ち、健都レールサイド公園という健康器具が充実した公園が整備されています。

 

 

これまでのケースですと、ハード整備から始まるケースが多かったと思いますが、1と2のプロセスを経ることで、より有意義なハード整備につながることが期待できます。

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以上3つのステップに分けて紹介させていただきましたが、これから健康まちづくりに取り組もうとしている自治体関係者の皆様など、ぜひ下記よりお問い合わせをお待ちしております。

 

石井邦知(ISHII KUNITOMO)
2011年に独立し、スポーツイベント&プログラムの企画運営事業を展開。
企業運動会の運営経験や、2017年に原田メソッド(目標達成メソッド)認定パートナー取得を経て、企業向けのサービスも展開している。
また2018年にまち活かし会社・NCS株式会社を設立し、1事業として、空間デザイナー、整体師と健康経営サポートチームを結成。
2020年より”健康まちづくり事業プロデューサー”として、体力測定を事業化し、企業や町会・商工会などの地域コミュニティ向けに実施してきた他、YouTube撮影やファンクラブ向け動画コンテンツとして、著名人とのタイアップ企画も多数行う。
その他、小学生向けのプログラムも展開しており、2015年度からは埼玉県川口市立青木北小学校,2018年度からは川口市立新郷小学校放課後子ども教室のコーディネーターを担当(2021年度からは両小学校を兼務)。その他、きゅぽらスポーツコミュニティ代表(総合型地域スポーツクラブ)、一般社団法人日本コムスポーツ協会代表理事
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